一つ目の、ラストラン

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競馬を好きになったことで、呼び込まれた縁の不思議。

一つ一つの縁全てが、不思議で、温かく、そして、切ない。


今日、日本の、とある競馬場で、1頭の無名競走馬が、引退レースを迎えた。

無名の競走馬に“引退レース”だなんて、それだけで不思議だった。

不思議な縁に導かれて、その馬を私に教えてくれた、とある方との縁も、不思議なものでした。

馬たちの仕事場としての地方競馬を愛する私は、時に、馬を優先しすぎるそのお方に
反発もしたのでした。

不思議な縁がもたらした結末、それは、数日前の、真夜中のメール。

「ラストランです」。

もちろん、レース前に公表はしません(本当は関係者ではない私が聞くことはいけないのだろうけど)

無意識のうちに、涙がこぼれた。

応援に行けたのはいつだったっけ…

その方もなかなか競馬場へは、行けなかったんだよね。

でも、君は…シャッター音を聞くと、かならずその方を向いて、見つめていたんだったね。

いつだったか…私が代理で会いに行った時、シャッター音を聞いて、すぐに私の方を振り向いて…

そして首をかしげて、その後は二度と、私の方を向かなかったね。

ああ、君も分かっているんだね、君をいちばんに愛してくれる人が誰なのか…

今日、私はもちろんだけど、その方さえも、現地には行けなかった。

そこのゴールはゴールじゃないんだよ。

そのゴールの向こうには、君をいちばんに愛してくれる人が、たとえそこにはいなくても
両手を大きく広げて、君のラストランを迎え入れてくれるんだよ。

ずっとずっと投票してきた応援馬券を、今日は買わなかった。

もう、二度と買うこともない、君の応援馬券

ありがとうね、私にも応援させてくれて、ありがとうね。

つい先程見ることの出来た映像。

競馬を愛する者の目で見たら、とても許せるレースではなかったね。

だから、今日だけ、そのレースだけ、私は競馬ファンを辞めるよ。

みんな、辛かっただろうから。

君を愛してくれたのは、そのお方だけじゃない。

先生も、厩務員さんも、何人もの騎手さんも、君と勝つことを願ってた。

初めて君を見た時、なんて素直で体の柔らかい仔なんだろうって思ったっけ。

今は少し、強ばってしまっているよね。もう、いいんだよ、一度力抜いて。

ここが最後じゃない。これで終わりじゃないんだ。

君はとてもラッキーなんだよ。

二つ目のラストランをいつか迎えられるよう

今は、ゆっくり、お休み。

さようなら、競走馬の君。

いつか、また、きっと会おうね。

きっとだよ…